◆紙の大縮尺地図で江戸の下町を机上散歩◆
三時期(江戸、明治、令和)の地図がセットになっており、街並みの変化を辿れます
武家だけでなく、富裕な商人など一部の町人についても地図上に姓名の記載があります
・江戸期(嘉永年間:1848年〜1854年)の下町地域(現在の中央区を中心とした辺り)を、各種屋敷絵図、町絵図、沽券絵図、切絵図等の地図類、また町鑑、武鑑、江戸名所図会等の文書類など、多数の資料を基に復元した縮尺1/3000の地図です。
同じ地域の明治期および現代の地図、解説冊子のセットとなっています。
・明治期の地図は、参謀本部陸軍部測量局作成「五千分一東京図測量原図」(明治16年〜17年:1883年〜1884年)をベクトルデータ化し、原本ではかすれて読みづらい注記や記号を書き直し、建物の表現、水部ほかの色合いなど細部にまで気を配って復元した見やすく美しい地図となっています。比較対照用の現代図(令和5年:2023年)には、厚手のトレーシングペーパーが使用されており、同じサイズの江戸期の地図・明治期の地図と重ねて見ることで、時期による変化の様子を容易に確認することができます。現代図には、各種の老舗、文化財・史跡(解説冊子に紹介文付きの一覧あり)の位置なども記載されています。
・解説冊子の第一編「江戸之下町復元図 時代:嘉永」(中村静夫)は「江戸之下町復元図」の作成者による、復元の参考資料の一覧やその使用方法など、復元作業に関する解説です。また読み仮名付きの地名索引(町名、里俗、火除地、河川、橋など)、人名索引(大名、旗本、御家人、名主など)、寺社索引(神社、寺院)も完備されています。第二編「江戸から明治へ 地図の比較から街の変化を読む」(菅原健二)では、江戸期と明治期それぞれの地図の特徴と読図の際に注目すべき点について、また地図に反映されている社会状況等の変化について二時期の比較から解説がされています。
※「改訂版 江戸之下町復元図」は、平成元年(1989年)に「国立歴史民俗博物館」より刊行された「近世都市江戸町方の研究第23集」に収録の「江戸之下町復元図 時代:嘉永 縮尺1/2,500」を当時の作成者である中村静夫氏が加筆・修正のうえ縮尺を変更し出版した復元図(平成29年:2017年)の改訂版です。
※なお本図について、解説・第一編「あとがき」には「編集にあたり多方面の資料には十分注意をはらいましたが、推定の部分もあり、筆者でも水系の復元率は90%、町地関係地割の復元率は85%と思っています。本図の内容が100%の復元でない部分もあることをご理解いただきたいと思います」との記述がございます。復元内容に誤りを含む可能性があることをご承知おきください。